家庭教師のアルバイトとピタゴラスの定理

妹の友達のお母さんに頼まれて、妹の友達のお姉さんの家庭教師のアルバイトをしたことがある。

当時私は大学1年生、妹の友達のお姉さんは 私立のお嬢様学校の中学生だった。

私は数学大嫌いの文系学生だったのに、こともあろうか 数学を教えてくれと言われた。

ここで私は大失敗をした。

たかがお嬢様学校と、タカをくくったのである。

都立高校で男の子とバリバリはりあってきたのだから、不得意な科目でも お嬢様学校のお嬢ちゃんくらい ごまかせる、とおごり高ぶったのである。



結果は悲惨だった。

初日からピタゴラスの定理の証明を教えてくれと言われ、大学生なのに、家庭教師なのに、私は証明できなかったのである。

それでもアルバイト料を貰った。

申し訳なかった。

ピタゴラスの定理が証明できないのに、なぜ 私は家庭教師のアルバイト料をもらうんだ。

恥知らずめ、と自分で自分を殴りたい心境だった。

翌日、高校時代の友達に電話した。

彼は中央大学の法科に進んだ人だった。

ピタゴラスの定理なんて、その場で電話で教えてくれた。



教えてもらえば、あ、そうか、である。

私も中学で学んだのだから。

中学生にだってわかる問題なのだ。

ピタゴラスの定理なんて。

直角三角形の斜辺の二乗は他の2辺の二乗の和に等しい。

最高学府に通うのに、中学生の問題がとけなかったのだ、私は。

以来、ますます私は数学恐怖症になった。

家庭教師のアルバイトはその後も続けた。

ピタゴラスの定理の証明だけは、今も出来る。

あの日私にそれを教えてくれた同級生は その後弁護士になった。

ただのオバサンになった私とはえらい違いである。

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